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本当におもしろい旅エッセイ教えます/ Aoyama Book Column #8
岸本佐知子さんのエッセイ『死ぬまでに行きたい海』が新潮社より文庫化しました。こちらの文庫化を記念して、文庫コーナーでは「場所の記憶をめぐるエッセイフェア」を展開しています!
今回のコラムでは、このフェアにあわせて、青山ブックセンター本店がおすすめする旅エッセイ本を30冊紹介します。行きたくなる旅先が見つかること間違いなし。旅のお供にも、いかがでしょうか。
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1.岸本佐知子『死ぬまでに行きたい海』
ぼったくられたバリ島。父が生まれ育った丹波篠山。思っていたのと違ったYRP野比。幼馴染との経堂での奇妙な再会。
“鬼”がつくほどの出不精を自認する著者が、それでも気になるあれこれに誘われて、気の向くままに出かけて綴った22篇。
2.小指『偶々放浪記』
寄居、いちょう団地、石岡、城ヶ島……有名な観光地でも“映え”スポットでもない、人々に忘れ去られそうな場所を「たまたま」訪れる愉しみ──
笑いと哀感が入り交じり、読後はふらっとどこかへ行きたくなること必至の、珠玉の旅漫画+旅エッセイ集。
3.若菜晃子『旅の断片』
メキシコ断簡、地中海の島キプロス、サハリン点描、花のスリランカ──。
登山の専門出版社の編集者を経て文筆家として活躍している著者による情緒豊かな随筆集。
4.橋本倫史『観光地ぶらり』
道後温泉、猪苗代、五島列島、登別・洞爺──。各地の「観光地」を巡り、日本の近代の歩んできた足跡をたどる傑作ノンフィクション・エッセイ。
5.清水浩史『海の見える無人駅』
青く抜ける空と海。ポツンと佇む駅舎。静寂と解放感。郷愁を誘う「海の見える無人駅」は、なぜこんなにも心地いいのか。小さな駅の物語から今の日本が見えてくる海駅ガイド!
6.中央公論新社『世界カフェ紀行』
珈琲、紅茶、ぽかぽかココアにご褒美ビール。世界中どこでも、カフェには誰かの特別な想い出がある―。自宅で、電車で、休憩中に、読めばほっこり旅気分。作家、学者に映画監督まで、各界著名人が寄稿するBunkamuraの名物誌『ドゥマゴ通信』から生まれたカフェ・エッセイ全50篇。
7.梨木香歩『エストニア紀行』
首都に巡らされた不思議な地下通路。昔の生活が残る小さな島の老婆たち。古いホテルの幽霊。海辺の葦原。カヌーで渡る運河の涼やかな風。そして密かに願ったコウノトリとの邂逅は叶うのか…。欧州の小国を真摯に見つめた端正な紀行文。
8.堀井和子『アァルトの椅子と小さな家』
コルビュジェの家を訪ねてスイスへ。テキスタイルや家具を探しに北欧へ。フランスの田舎町の家庭的なホテルへ──いつもとは違う時間、気ままな旅のスタイルを綴る極上のイラスト&フォトエッセイ。
9.片桐はいり『わたしのマトカ』
森と湖の美しい国で出会ったのは、シャイだけど暖かい人たちだった…。映画「かもめ食堂」の撮影でフィンランドに1カ月滞在したことをきっかけに書き下ろした旅にまつわるエッセイ。
10. 江國香織『旅ドロップ』
「旅にでるとき、私はいつも、ちっぽけな子供に戻ってしまう気がする」
海外への旅(パリ、ローマ、フランクフルト……ロシアとアフリカ)、そして国内の旅。小さな物語のような珠玉の旅エッセイ
11. 角田光代『いつも旅のなか』
仕事も名前も年齢も、なんにも持っていない自分に会いにゆこう。モロッコ、ギリシャ、ロシア、マレーシア、キューバ―。五感と思考をフル活動させ、世界中を歩き回る旅を、臨場感たっぷりに描く傑作エッセイ集。
12. 原田マハ『やっぱり食べに行こう。』
あちこちを旅しながら「おいしい!」に出会い、「おいしい!」を探してまた旅に出る。パリ、ニューヨーク、ロンドン、スペイン、ロシア、京都―ピカソやゴッホを訪ね、取材先で食べた「思い出の一品」。
13. 益田ミリ『美しいものを見に行くツアーひとり参加』
美しいものを見ておきたい。40歳になった時、なぜかそんな気持ちになりました。北欧のオーロラ、ドイツのクリスマスマーケット、フランスのモンサンミッシェル…。一度きりの人生。行きたい所に行って、見たいものを見て、食べたいものを食べるのだ。
14. さくらももこ『ももこの世界あっちこっちめぐり』
スペインでガウディにキュンとして、バリ島で毎日ナシゴレンを食べ、父ヒロシと長年の憧れグランドキャニオンに飛び…。1996年5月から約半年間にわたって世界じゅうをめぐった記録を、感動も驚きも尾籠な話も全部ひっくるめて綴る、抱腹絶倒、伝説の旅エッセイ。
15.若林正恭『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』
「別のシステムで生きる人々を見たい」多忙な著者は5日間の夏休み、一人キューバへと旅立った。キューバはよかった。そんな旅エッセイでは終わらない、若林流紀行文。
16. 千葉雅也『アメリカ紀行』
トランプ以降のアメリカへ。四ヶ月の滞在で、ありふれた街の光景や人々との会話から見えてきた日本の特性―。気鋭の思想家が「聖なるもの」「二人称」「分身」等について軽妙洒脱に綴った哲学的紀行。
17. 東松寛文『リーマントラベラー週末だけで世界一周』
社会人3年目にひょんなことから旅に目覚め、週末と貯金を使い、3か月で5大陸18か国への世界一周を達成した「旅するサラリーマン」が旅を通じて自分らしい生き方、働き方を見つけていく“奇跡”の物語。
18. 山崎まゆみ『ひとり温泉 おいしいごはん』
33か国、1000か所以上の温泉に入った著者が、ひとり旅ならではの旅の準備や宿選びのコツから、タイプ別マイ温泉の見つけ方などのノウハウを披露。さらに著者が訪れた全国各地の美味の数々や温泉街&名旅館を巡るエッセイも満載の1冊。
19.横道誠『イスタンブールで青に溺れる』
ASDとADHDとを併発した文学研究者が世界を旅するとどうなるのか?ゆく先々の土地で、“ゆらめく身体”と世界文学が溶け合い、前人未到のワンダーランドが立ち上がる異色の「当事者紀行」本。
20.星野道夫『旅をする木』
広大な大地と海に囲まれ、正確に季節がめぐるアラスカで暮すエスキモーや白人たちの生活を独特の味わい深い文章で描くエッセイ集。
21. 石川直樹『地上に星座をつくる』
旅を続けるのは、自分の身体で世界を知りたいから。ガンジスの河口でカレーを味わい、カナダの森で松の香りをかぎ、知床の山でヒグマの足音を聞く。未知の風景を求め、そこだけに輝く一瞬を、撮って、繋げた、かけがえのない7年の記録。
22. 沢木耕太郎『旅のつばくろ』
つばめのように自由に、気ままにこの日本を歩いてみたい―。世界を歩き尽くしてきた著者の、はじめての旅は16歳の時、行き先は東北だった。龍飛崎、五所川原、花巻、兼六園など、追憶の旅エッセイ。
23. 和田誠 平野レミ『旅の絵日記』
日記はレミさん、絵とコラムは和田さん。中学生と小学生の息子を連れて、フランス・スペイン・モナコ・イタリアを巡った1989年の夏。旅先の食事、ホテル探しのエピソード、出会った風景と町歩きの小さな発見。見て読んで心がはずむ、家族の旅の記録。
24.堀内誠一『ここに住みたい』
絵本作家・アートディレクターとして一時代を築いた著者が描く、旅の文とスケッチ。フランスで安宿グルメにハマり、メキシコではおもちゃに散財、ある日はスペインで巨匠ダリと不意に遭遇!知らない町をぶらぶら歩く楽しさが染みわたる。
25.安西水丸『たびたびの旅』
旅と酒場巡りがしたい!根っからの自由人である著者の眼差しに重ね、気の向くままに訪れた世界の町と東京の酒場に誘う旅絵日記。
26. 村上春樹『遠い太鼓』
ある朝目が覚めて、ふと耳を澄ませると、何処か遠くから太鼓の音が聞こえてきたのだ。ずっと遠くの場所から、ずっと遠くの時間から、その太鼓の音は響いてきた。―その音にさそわれて僕はギリシャ・イタリアへ長い旅に出る。1986年秋から1989年秋まで3年間をつづる新しいかたちの旅行記。
27. 伊丹十三『ヨーロッパ退屈日記』
1961年、俳優としてヨーロッパに長期滞在した著者は、語学力と幅広い教養を武器に、当地での見聞を洒脱な文体で綴り始めた。上質のユーモアと、見識という名の背骨を通した文章は、戦後日本に初めて登場した本格的な「エッセイ」だった。
28. 有吉佐和子『女二人のニューギニア』
文化人類学者の友人、畑中幸子氏に誘われて超多忙の一九六八年、第二の故郷であるインドネシア滞在後に足を伸ばしたのが、ニューギニアの奥地、セスナを降り三日間山を歩いて辿りついたヨリアピだった。文明に侵されていないシシミン族が住む地での驚きの連続と抱腹絶倒の滞在記。
29. 佐藤秀明 編集『三島由紀夫紀行文集』
三島由紀夫は、南北アメリカ、ヨーロッパ、アジア各国を、晩年まで旅行している。『アポロの杯』は、20代の三島の初めての世界旅行の記録。鋭利繊細な感受性を存分に濫費して、旅先の体験を明晰・清新な言葉に刻んでいる。作家の転換点ともなった重要作である。『アポロの杯』の他、海外・国内の24篇の紀行文を精選する。